- ―宝塚歌劇との出会いは?
- 佐賀県の出身で全国ツアー公演を地元で観劇したのが最初です。中学3年直前の春休みに観劇し、すごい世界だなーと大感動しました。月組の真琴つばささん主演の『うたかたの恋』でした。バレエを習っていたので “毎日舞台に立てる仕事っていいな”というふうに宝塚への憧れが強くなりましたが、どうやったら入れるのかという情報がなかなかなくて。そんな矢先、1年先輩の方が佐賀から宝塚音楽学校に入学されたという記事を新聞に見つけたんです。自分もチャレンジできるのだと受験を決意しました。きっかけを作ってくださった先輩は雪組の夢乃聖夏さん。夢乃さんがいらっしゃらなければ、入団できていなかったかもしれません(笑)。
- ―新人公演の話を伺えますか?
- 新人公演では春野寿美礼さんの役を多くいただきました。役としては大人で孤高の人、どちらかというと影がある役が多く、自分の学年よりもかなり背伸びが必要でした。大人っぽいしぐさとかスーツの着こなしなどは、その時にかなり学ばせていただきました。また、春野さんは歌がとても上手な方でいつも難しい曲に取り組まれていらしたように思います。春野さんの歌を毎日必死で聴いていたので、今でも似た雰囲気の曲に出会うと、春野さんだったらどう歌われるだろうと考えたりするんです。 真飛聖さんの役もさせていただきました。真飛さんは、訊くとなんでも教えてくださる優しい方で、みんなでやっていこうというタイプのリーダーでした。タイプの違うお二人とご一緒できたこと、またお二人の役をさせていただけたのは本当に幸せでした。
- ―組替えはどう受け止められましたか?
- 10年目になり、方向性について自分の中でちょっと悩んでいた時期にいただいた話だったので転機だと感じました。組替えは自分で望んでできないことでもあり、なかなか経験できないことですので、これはプラスにとらえていこうと受け止めました。 実は花組トップの蘭寿とむさんも、かつてちょうど同じ学年の頃に花組から宙組へと組替えになられたのですが、「組替えは自分のためにもなるし、すごくいいこと」といろいろとアドバイスをくださり励ましていただきました。
- ―宙組はどんな組ですか?
- 根本的には、花組も宙組もとても明るくて似ていると思います。強いて言うなら、宙組は一番新しい組なのでより自由な感じでしょうか。花組は最も歴史がある組なので、男役も伝統を大切にする意識がありました。私は花組の男役を10年間学んできたわけですが、宙組の皆さんはそれを個性として受け止めてくださって、すごくのびのびさせてもらっているんです。心広く受け止めてくださる組だなと感じています。
トップの凰稀かなめさんはクールなイメージがありましたが、お会いしてみたらとても温かく優しい方でした。もちろんビシッと決められる時は本当にかっこいいですけれど、普段はすごく温か~い方なんです。お蔭様ですっかり馴染んで、組替えからまだ2カ月とは思えないと言われていますが(笑)、今はとにかく自分をオープンにしていくことを心がけています。
- ―ところで、ごはんとはどのように関わってこられましたか?
- 故郷の佐賀県は米どころでもあり、実家で食べていたお米は親戚の叔父さんが栽培したものをいただいてました。そのお米は、叔父さんの名前から“かっちゃん米”と命名されていたんですよ(笑)。ごはんは小さい時からしっかりと食べています。
- ―では、エネルギーの源はなんでしょうか?
- もちろんごはんです!一日のスタートはほかほかごはんから。卵かけごはん、美味しいですよね。ごはんは毎朝欠かさず食べています。お稽古や舞台を力一杯頑張れるのは、ごはんのおかげといっても過言ではありません。
2002年『プラハの春』で初舞台。2005年『マラケシュ・紅の墓標』新人公演で主役のリュドヴィークに抜擢され、スラリとした立ち姿と瑞々しい演技を披露し話題となる。2007年『明智小五郎の事件簿~黒蜥蜴』、同年『アデュー・マルセイユ』で続けて新人公演主役。2008年バウ・ワークショップ『蒼いくちづけ』では、主人公のドラキュラ伯爵を妖しく魅惑的に演じた。同年、『愛と死のアラビア』で4度目の新人公演主演。2010年バウ公演『BUND/NEON 上海』で単独初主演、真っ直ぐな青年特別捜査官の苦悩を好演した。また、同年の『CODE HERO/コード・ヒーロー』で二度目のバウ主演。自らの掟に従って行動する反逆的なヒーロー像を浮き彫りにした。2011年『ファントム』ではヒロインに惹かれる貴族フィリップとオペラ座の団員セルジョの二役を演じ存在感をアピールした。2012年『復活―恋が終わり、愛が残ったー』では、主人公の士官学校時代の親友役。親友が望まない決断を下す検事役を実直さを滲ませ好演した。6月宙組へ組替え。
