―毎朝の食事はお姉さんに任せられているとのことでしたが、お料理はされないのですか?
料理は苦手なので、姉に任せています。姉が作ってくれるカレーや肉じゃがは本当に美味しいんです。でも、ごはんを美味しく炊くコツは知っています。炊きたてのふっくら柔らかいごはんが好きなのですが、水加減をするときに料理酒を入れるんです。そうして炊くと、ついおかわりしたくなるような、ふっくらごはんが完成します!
―夕食もお姉さんの手料理が多いんですか?
夕食は、「何か食べに行こう!」と同期や上級生、下級生と食べに行くことが多いです。稽古で遅くなったときでも、みんなで食べに行くと元気になれるような気がして。
―壱城さんにとっては、ごはんはなくてはならないもののようですが、なかでも心が元気になれる「こころにおいしいごはん」はどんなごはんですか?
私が元気でいられるのは、大好きな仲間と一緒に楽しく食べるごはんと、母や姉が作ってくれる手作りごはんがあるからです。そう考えると、この2つが「こころにおいしいごはん」になりますね。近くに住む母が時々大量に手料理を作って届けてくれます。姉は、私の健康を考え、毎日、栄養バランスのよい食事を作ってくれます。もちろん、稽古の合間に食べるおにぎりまで作ってくれます。家族には本当に感謝しています。
―舞台に立つうえで心がけておられることはありますか?
私を応援してくださっているファンの方はもちろんのこと、舞台を観てくださっているすべての方々への感謝の気持ちを忘れないでいようと思っています。ですから、「舞台に立てて嬉しい。楽しい」という気持ちがみなさんに伝わるようにと、お芝居やダンスに感謝の心をこめるようにしています。
―まもなく新人公演を卒業されるのですが、お気持ちはいかがですか?
今回が最後の新人公演になります。最近になって、やっと自分の役柄に没頭するだけでなく、下級生の様子もみながら、空気を感じ取りながら芝居をすることができるようになりました。下級生が頑張っている姿をみていると私も元気になります。これからは、本公演でも上級生が気持ちよく舞台を務められるように、パワーを届けて今まで以上に頑張りたいと思います。
―どのような男役を目指されていますか
背が高くてがっしりしているほど包容力は出しやすいと思うのですが、私はどちらかといえば華奢で小柄なほうなので、見た目だけで包容力を感じさせるのは難しいと思っています。ですから、娘役さんを包み込む温かさや、見つめる眼差しを研究することで、男の色気や包容力を表現できればと考えています。 以前は舞台を降りてしまうと娘役さんに間違われることも多く、それが嫌な時期もありましたが、今はそれでもいいと思えるようになりました。華奢な外見からは想像もつかないような男らしい舞台姿、このギャップは私の武器かもしれません。これからはそんなギャップを活かしつつ、男役の醍醐味を感じていただけるような舞台人を目指していきたいです。
―最後に会員へのメッセージをお願いします。
私の「ガッツ」の源は、何といってもごはんです。これからも、大好きなごはんをしっかりと食べ、元気いっぱいに舞台で演じ続けます。ぜひ劇場に観にいらしてください。そして私の元気パワーを感じてくださいね。
兵庫県出身。2003年、宝塚歌劇団に第89期生として入団。同年、月組公演『花の宝塚風土記』で初舞台を踏み、その後、星組に配属。現在は、将来を期待される若手男役のひとりとして活躍。上品で端正な顔立ちとエネルギッシュな舞台姿のギャップが多くのファンを魅了してやまない。