宝塚歌劇団プロジェクト

柚香 光さん インタビュー<後編>

明日海りおさん率いる花組が上演し大好評を博した『新源氏物語』と『Melodia―熱く美しき旋律―』が東京宝塚劇場で幕を開けている。実に26年ぶりの再々演となる『新源氏物語』は、平安装束もあでやかに、宝塚歌劇ならではの見応えある公演。ラストは、孤独な胸の底からほとばしる明日海りお演じる光源氏の叫びが客席を埋めつくす。

同時上演のショー『Melodia―熱く美しき旋律―』は、大人数の場面が多く、アップテンポのショーの中で花組の勢いが止まらず、お芝居とは違った充実ぶりが伝わってくる。しっとりとした美しい世界観のお芝居と、パワー全開の熱いショーで花組の魅力が堪能できる二本立てとなっている。

そのなかで、妖艶にシャープにダイナミックにと、ショースターの魅力を存分に発揮し大活躍を見せる柚香光さんに、ショーのみどころや目指す男役、また“こころにおいしいごはん”についてお話いただいた。

小粋でお洒落。黒燕尾服の銀橋歩きにご注目!

―ショーの見どころを教えてください。

『Melodia』は、軽快な感じのとても素敵なショーです。どの場面もお勧めで、好きな場面を特定するのが今回は特に難しい状況ですが(笑)、フィナーレナンバーの男役群舞の後に続く、お客様にコンタクトをとりながら黒燕尾姿で銀橋を歩くシーンがお気に入りです。特に振りはなく、リズムに乗って歩くのですが、黒燕尾でリラックスした雰囲気を漂わせる感じが好きです。もちろん黒燕尾のフィナーレナンバーも大好きです。黒燕尾というと精神統一をして臨む緊張感があるのですが、今回はすごく小粋で楽しい振りが多いので、お洒落な感覚をお楽しみいただけると思います。ダウンタウンジャズの場面では、テクニックや見せ方よりもまず、身体の底から音楽を感じて楽しむということを振付の先生が叩き込んでくださいました。難しさに衝撃を受けた振りも、弾けるように楽しいものになっていたら嬉しいです。

東京の新人公演も一丸となって頑張ります!

―主演を務めた新人公演はいかがでしたか?

光源氏は、現代の感覚では共感しにくい部分があることや、飛び石的に続く場面で気持ちを持続させることなどが、とても難しかったです。お稽古場から明日海さんの役づくりをずっと見させていただいたのが、やはり一番参考になりました。舞台でも明日海さんの感性あふれる光源氏に、日々刺激を受け様々なことを感じることができました。
源氏を取り巻く女人がたくさんいて、新人公演で演じ手が変わるとお芝居も変わり、本公演とはまた印象の違うものになったのは興味深いことでした。新人公演メンバーにとっては、着物の所作などお衣装の課題がたくさんあるのですが、お衣装を着てお稽古できるのは、実は1回の舞台稽古だけなんです。みんなよく集中してできたなと思います。東京公演でもさらに課題をクリアして、皆で質の高いものにしていきたいです。


 “下級生にめざしてもらえる男役”が目標

―今後、めざす男役像などありましたらお聞かせください。

今研究科7年目で今回で新人公演も卒業です。これまでは、上級生の背中を見てああいうふうになりたい、こういうふうになりたいと前を見続けて進んできました。気がつけば今、自分の下に6学年、50人くらいの下級生がいます。組を活性化するのには、自分のことももちろんですが、下級生の活気というものが本当に大事になってくると思いますので、下級生にいい意味で刺激を与えられるようにとか、下級生がこうなりたいと思えるエネルギーを与えることができるような舞台人になりたいです。

―舞台人としてこころがけていることはありますか?

舞台では演じ手の“人となり”が、役やショーを通してすごく見えてくると感じています。舞台では切羽詰まった余裕のない状態にならないよう、穏やかに誠実に臨めるよう、日頃からコンディションを整えて過ごしたいです。


心ときめくのは、デザートよりもごはんです。

―小さい頃からごはんが好きでしたか?

今ほど“ごはんを愛す”という意識はありませんでした。ごはんがあって当たり前というか。帰宅した時幸せな気分になる“ごはんが炊ける匂い”や、“温かいホカホカごはん”の有難味は、母のもとを離れてわかりました。同時にごはんを愛する気持ちにも気づいたという感じです(笑)。小さい頃から、日常的にお菓子を食べる習慣がなかったので、甘いものは好きだけどほんの少しでよい感じです。心ときめくのは、デザートよりもごはんです。5人兄弟で7人家族ですので、とても賑やかな食卓でした。母は料理が上手でいろんなものを作ってくれましたが、特に好きなのは母手作りのコロッケとハンバーグ。コロッケを作るときのじゃがいもの量はすごかったですね。じゃがいもを潰すボウルも大きくて(笑)。

食材を輝かせ、心の栄養になるのが “こころにおいしいごはん”

―柚香さんにとって“こころにおいしいごはん”とは?

全国各地でその土地の食材を使って、その土地の方がこだわりをもって愛情込めて作ったものは何よりも贅沢な“こころにおいしいごはん”だなと思います。その食材が一番輝く時だなという気がします。それから、温かい食事を家族や仲間と一緒に食べることも、私にとって“こころにおいしいごはん”です。一番心の栄養になる気がします。

心身の健康は、おいしいごはんから。

―ゴーゴーご組会員へのメッセージをお願いします。

心身ともに健康でいることが何より大切です。身体の健康にも心の健康にも欠かせないのが、やはりおいしいごはん。ごはんをしっかり食べて、笑顔でお過ごしくださいね。私もごはんに支えてもらいながら、皆様に幸せをプレゼントできるような舞台を目指し精進して参りますので、皆様、ぜひ劇場にもお越しください。楽しみにお待ちしております!


柚香 光

東京都出身。2009年『Amour それは…』で初舞台。同年花組に配属。2014年『ラスト・タイクーン』で新人公演初主演。同年『ノクターン 』でバウホール公演初主演。同年『エリザベート―愛と死の輪舞―』で新人公演主演。2015年台湾公演に参加。同年『新源氏物語』で新人公演主演。

彩風咲奈
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