私が通った小学校では、稲作体験の授業がありました。田植えからはじまって、収穫まで機械ではなく全部手でやったんです。たくさんの手がかかって、稲がどんどん大きくなって、収穫したもみを手でこすったら殻が破れて中からお米が出てきた。こんなふうにしてお米ができるということを知ったんです。だから毎日食べる「ごはん」は当たり前にあるものじゃない、作る人の苦労があっての「有ることが難しい=ありがたい」ものだということを学びました。
私にとっての「こころにおいしいごはん」は、なんといっても家族が揃って食べるごはんです。「いただきます」と言えばいつも返ってくるやさしい言葉であったり、「おいしい、おいしい」って笑顔で食べたり、そういう家族が集まって食べる時間が家族の絆を育むのではないでしょうか。
今年で入団11年目になるのですが、人生の長さを均等に3つに分けるとすると、最初の3分の1は基本になる土台を固める期間だと思うんですね。今年はちょうどその節目にしたいという気持ちでいます。
芸事はゴールのない世界なので、今まで学んできたことをしっかり振り返って基本をしっかり固め直そうと考えています。
いつも思うことですが、どの役がきても「北翔さんだ」っていわれるのが好きじゃなくて。「こんな面もあるんだ」「あんな役もできるんだ」っていう、いい意味でお客さんを裏切られるような役者としてやっていきたいです。
将来的には“タカラヅカでもこんなことをやるんだ”ということを実現できればいいですね。
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